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子育て救急箱

発達障がいをもつ人への対応(全般)

■発達障がいをもつ人への対応(全般)

●発達障がいをもつ人とどう向き合うべきか
私たちは障がい特性から起こる(直接見ることができる)行動に目を向けがちです。
例えば、虫好きの多動性・衝動性優勢型のADHDの保育園男児Aくんの場合で考えてみましょう。

Aくんは新学期最初の頃は着席して活動に参加していました。
しかし5月頃から教室での活動に集中できなくなり、
活動時間が終わる前に園庭に出ていこうとします。
また遊び時間が終わってもなかなか教室に戻ってこなくなりました。

実際に目に見える行動は
*4月にできていたことが5月頃からできなくなった。(教室での活動中の着席)
*5月頃から遊び時間が終わっても帰ってこない。

できていたことができなくなった場合、つい『できる力があるはずなのにしない=さぼっている』と考えがちではないですか?
Aくんを理解するために、どうぞ『できる力があるはずなのに、しない』のではなく『できる力はあるけれど、できなくなっている』と考えるようにしてください。
なぜできなくなったのか?Aくん自身に、またはAくんの周りにどんな変化が起こっているのかに目を向けてください。

さて、今回のAくんのケース。キーワードは虫好きと5月でした。
4月はまだまだ寒くて園庭にはほとんど虫がいませんでした。しかしだんだん暖かくなってきて5月になる頃には虫たちの活動が活発になり園庭が、Aくんにとってとても魅力的な場所になっていたのです。
以上のことから担任の先生はAくんが教室に戻ることを忘れにくくする工夫をし、さらにAくんの興味関心(今回のケースは虫)が満たされる保障も行いそれをAくんが分かる方法でAくんに伝えました。
(もちろん最初は緊張していたのがだんだんと慣れてきたことも関係していると思います)

発達障がいはこれまで見てきたように生まれながらの障がいです。
Aくんの担任の先生のように、障がい特性をもつAくん丸ごとを尊重してください。
「治そう」「普通に近づけよう」というのではなく、発達障がいをもつ子どもが暮らしやすい環境を整え、ご本人の適応力を育てるような対応をしてください。
子どもを否定しない対応は、子どもの自尊心を育てます。そしてその結果、子どもは本来持っている力を発揮しやすくなっていくのだと思います。

繰り返し書かせてください。
「子どもを治そう」「普通に近づけよう」というのではなく、
「子どもが将来、自分にあった対応の方法を身につけられるような取り組みをしよう」と考えることが大切なのだと、多くの子どもたちから私は教わってきました。

 

●対応の方法とは
子どもは親だけで育てられません。特に発達障がいをもつ子どもを育てる場合、多くの人との連携が必要になってきます。
たくさんの、様々な立場の専門家がいらっしゃいますが、子どもといちばん長くともにいるのは多くの場合保護者です。
つまり保護者はそれだけ子どもの情報を多く持っているのだと思います。

子どもを様々な専門家からなるチームで育てていくと考えるとき保護者は大変重要なキーパーソンとなります。
専門家間(例えば医師と教師など)の情報伝達、子どもの変化を見極める力など…。
ですから私は保護者の方々に、発達障がいについて学ばれることを強く強くお勧めします!
学ぶことで、仲間を見つけることができます。
子どもの行動の意味(背景)が見えてきます。
対応の方法を考えることもできます。
そしてなによりも子どもの成長を実感することができます。(言い方を変えると見逃しにくくなります。)

発達障がいをもつ子どもを育てることは多くの困難を伴います。
しかしどうぞ忘れないのでください。親も大変だけど、当人である子どもの方はもっと大変だということを。
ですから彼らにぜひ生きていく上での武器となる「対応の方法」を持たせてあげてください。
前置きが長くなりましたが、私がこれまで学んできた強い武器のいくつかを紹介してこの質問への答えは終わりにしたいと思います。

・TEACCH
 1960年代よりアメリカ・ノースカロライナ州で発展してきた自閉症の人たちのための生活支援制度です。
 ツールではなく理念だと理解するとよいと思います。 自閉症の方とかかわる方にはぜひ勉強してほしいです。
 お勧めの本 『本当のTEACCH―自分が自分であるために』 内山 登紀夫著

・ABA
 応用行動分析
 簡単に書くと良い行動をほめることで増やし、なくしたい行動を無視することで減らします。
 簡単に書き過ぎましたが、ABAは、技能訓練やリハビリテーション、障がいを持つ子どもの療育など幅広い分野において利用されています。 学べば学ぶほど奥が深いです。
 
 私はABAを学んでよかったと思う一番の点は、親である自分の行動を客観的に考えられるようになったということです。
 行き当たりばったりのしつけや支援がいかに子どもを混乱させてしまうかをつくづく痛感しました。
 そのことに気づけるだけでもABAを学ぶ価値は大きいと思います。
しかし、ABAは気づくだけではなく、「ではどうしたらよいか」まで考えられる学問です。 
 
・PECS
 絵カード交換式コミュニケーションシステム
 自閉症やその他のコミュニケーション障がいを持つ人に自分からコミュニケーションを発信できるように教えることを目的に1985年
に開発された 拡大/代替コミュニケーショントレーニングです。

いま、発達障がいに関する情報はあふれています。
情報を取捨選択する目を養うためにもぜひぜひ勉強されることをお勧めします!


Q.時間がたてば気になる行動がおさまったり、
できなかったこともできるようになると聞いたことがあります。
それはいつ頃ですか?

一部の退行する発達障がいを除けば発達障がいをもつ子どもも成長、発達する力をもっているといわれていますし、私もそう信じています。
ただ、発達障がいのない子どもの成長する力と発達障がいをもつ子どもの成長する力との違いは周囲の援助や支援、配慮による影響が大きいというところだと思います。

もちろん、発達障がいをもつ子どもも飛躍的に成長する時期があります。
でもそれは、“いつか時が来れば” と、考えるよりも、“子どもがもともと持っていた力と周囲の適切な援助や支援の相乗効果の結果” と、とらえるほうが合理的だと思います。

ですから質問にある「それはいつですか」にお答えすることは難しいです。
大人は目の前の子どもをよ~く見、子どもがどんな年齢であっても、その子に合ったやり方で教えられたり見守られたり必要な手助けがあるという環境にいられることが大切なのだと思います。

ですからくどいようですが、子どもと長くかかわる保護者が発達障がいについて学ぶことはとても重要で意味のあることなのです。

(アドバイザー:いちばんぼし たれみみ)

 

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